自分の家わからなくてもお念仏は

丑三つ時は母の意識的は全開みたいだ。

サイドガードで囲まれたベッドで起き上がれない母は隣に聞こえるかという大きな声でお念仏を唱え始めた。

「ご先祖さま、ナマンダブ」から「助けたまえ」、「オッカさん、助けてよ〜」「助けてよ〜」と1時間宣わられると落ちる心配はいらないと思いながら見に行かないわけにいかない。

ベッドの囲いを一つ外して座らせると落ち着いた。

今日はデイサービスの日で支度をしたら「ここはどこか」と自分の家がわからない。

それでもお念仏は唱える。


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