アラームに素早く反応できなかったら

母がベッドから降り立ったアラームが鳴っていた。


気付いてベッドに急行したのだが、目の前で母は崩れ落ちた。


手を貸そうにも立とうともがくと蹴りの強さでクルクル回ってしまう。



細った足では上体が重くて抱え上げるにも手を掛ける場所に難儀する。


抱え起こしたが、手はポータブルトイレのガードをガッチリ握ってはなさない。おまけに今度は足が固まって歩を進められない。

向きを変えさせるだけで一苦労だ。


こうして終わったシッコだが、立ち上がりに苦労した母は「どっか怪我しなかったかい」と人の心配をしている。


思うように体を動かされなくなっている自分を発見して、「こんなに何もできんくなった。知らんかった」、「生きてる価値ない」となる。