ご先祖さまとは誰のこと

母のシッコの始末を終えたら、「ご先祖さま、もったいのうございます」と目を瞑ったまま唱えている。


ご先祖さまって誰のことだと聞いたら、ハッと気付いたように「おっかさん」と。

どこのおっかさんだと聞いたら、こちらを向いて「お母さん」、「お父さん」と。

100 になる人の父さんがこんなに若いかと、言わずもがな訳のわからないことを言って寝かせつけた。


ちょっとしたらまたアラームだ。

なんなのシッコしたでしょうと見に行けば、「背中、痒くて」と起きた。

タオルで背中をこすったら、「あぁ、痒いのなくなった」と手を合わす。

そんなことより寝てくれと寝かせる。

戻ったら、またアラームだ。

「背中、痒い」と。


痒み止めの薬を塗って一段落。


なんとも人騒がせな夜だ。