私は父の夢を見た

「ご先祖様、申し訳ありません」とシッコが終わった母がベッドに戻って言う。


時には「どなたかわかりませんが、ありがとうございます。ナマンダブ、ナマンダブ」と合掌される。



父が亡くなって30年だが、死別した母は亡くなった亭主のことは言わない。

45年連れ添って、近い人から忘れる。



その父が、夢に出て来た。

母のシッコを見に行ってるうちに、どんな夢だか忘れてしまった。